女性用大腿義足

第1次大戦後のヨーロッパで急増した義足需要に対応するために、アルミパイプと規格化された数種類の接続部を使ったモジュラー義足システムが開発されました。これによって切断者の切断状況に併せた義足を安く大量に提供することが可能になり、今日でもモジュラー義足が世界標準になっています。しかし、生産性を求めたそれらのパーツは一様に機械的な印象を義足に与え、身体との違和感を生む要因ともなっています。
「女性用大腿義足」は自身がアスリートでもある村上清加さんをターゲットユーザとした、特定個人に合わせて調整システムの有無から再設計をする、新しい考え方の義足です。健側のすねとふくらはぎにあたる部分は、取外しが可能な湾曲した板状のパーツですが、これにより身体のもつ曲線のリズムに添わせることができます。
この義足はあえて隠すことを目的としていません。近い未来、魅力ある人工物としての義足が実現したとき、義足使用者が、また社会が受ける義足のイメージは一変し、隠すものから見せるものへと変化できるのではと考えています。